2016年 年頭挨拶11日)
2015年11月12日園遊会にて
 新年おめでとうございます。
 旧年中は、フード連合の運動前進の為、加盟単組の皆様方には深いご理解とご支援、並びにご協力を賜りありがとうございます。
 新年を迎え、多くの希望と夢を描き、今年も頑張ろうという気持ちでメッセージを書いています。

全ての人々が共通の利益に向かう事こそ好循環社会を生み出す
 今年は、私達労働界にとって最も正念場を迎える年ではないでしょうか。
 長年続いたデフレの影響は、賃金をはじめとする様々な労働環境だけでなく、組織のしくみや構造的な役割とその意味、更には人々の様々なマインドまでも低下させてしまっているように思えます。例えば、失敗を恐れるあまりに、新しい事に挑戦するのをためらってしまったり、なるべく今までと変わらない事を無難にしようと思ってしまったりすることが挙げられます。
デフレの影響が生んだこの環境は20年以上も続いたものなので、仕方がない部分も理解は出来ます。
 しかし、今こういった流れから脱却し、あらゆる環境を改善させるべく、好循環社会を目指している事は、もはや経済界・労働界問わず一致している見解だと思います。つまり、私的利益を追求するだけでは社会が成り立たない時代だという事です。全ての人々が共通の利益に向かう事こそが、好循環社会を生み出すのではないでしょうか。

労働力人口が減少する今「企業のあり方」が問われている
 現在を取り巻く環境には、多くの課題があります。
 経済面でいうと、日銀においては物価上昇率2%を必ず達成するという話や、政府においてもGDPを600兆円の規模にするなどという話が出ていますが、GDPの6割は個人消費です。賃金が減り続けお金を使える人口が減っているのに、どうやって達成させる事が出来るのでしょうか?
 また、昨年、雇用環境も改善しているとの話がありましたが、中身をよく見れば、非正規の社員が大幅に増え、正社員が減少しています。更にいえば、第一次ベビーブームの世代が65歳を超え、労働力人口から外れる計算になり、その分、分母が小さくなっている訳ですから、必然的に失業率は低下するのです。
 それだけでありません。昨年成立した労働者派遣法は、3年目をむかえる派遣労働者に再契約するかどうかは過半数労働組合の意見を聞き、延長出来るとあります。労働組合が存在するところはまだしも、そもそも労働組合が組織されていない企業が大半であり、組織していても専従者を抱えられない組織での活動領域は決して満足いく活動が出来ていない状況だとすれば、政府は明らかにそれを見越した制度を取り入れたとしか言い様がないという事です。
 以上のことを踏えた時、これで本当に改善していると言えるのでしょうか。
 今、政府が行わなければならないのは、うわべの経済政策ではなく、根っ子に潜む様々な問題を解決する事であり、その事が骨太の成長に繋がっていく事を肝に銘じるべきだと思います。また、それを実行する各政党においても、真に国民目線での活動が必要です。
 今後世界の人口が、2050年には現在の70億人から100億人にまでなると推測されていますが、日本の場合は少子・高齢化が更に進み、1億人を切ると予想されています。そんな中、先に述べた通り、労働力人口の減少は始まっており、特に地方や中小企業においては、人手が足りない状況が発生していると聞いています。
その様な状況の中で社会人となる学生の皆さんはどんな会社を選択するでしょうか?
 賃金の高い企業を考える事は勿論ですが、初任給については若干のでこぼこがあるものの、入り口はそんなにそん色ない水準だと思います。
しかし、学生は人事制度そのものまでは理解出来ません。ではどこを見るのでしょうか?
 休みの水準などの福利厚生の充実度、社会に対する貢献度、CSRなんかもチェックするでしょう。
 つまりは、「安全安心な企業なのか」、「社会に必要な企業なのか」、「人にやさしい企業なのか」が問われているのです。

自分たちで行動し、結果を出すマインドアップの波及を
 では、私達労働組合の取り組みを振り返ってみるとどうでしょうか。
 「何が必要でどこが課題なのか?」を常に念頭において活動する事が必要です。しかし、こんな事はいつの時代でもやってきているはずなのですが、一向に改善されてこなかった。
 それは、冒頭に述べましたマインドの低下にあるのではと私は考えています。
 そういった意味では、すべての取り組みに対してマインドをアップさせていけば、必ず結果が付いてくると思っています。
 長年積み上げられた重い課題の山を動かす時がやってきたという事です。
 それぞれが、それぞれの役割と役目の中で確実に実施する、そして周囲にも波及させていけば、山は動くと思います。

フード連合では、様々な目標を掲げております。
どれも取り組みをしなくてはならない事ばかりですが、根本的な部分が解決されないとどんな活動も前進出来ません。
自分たちで行動し、自分たちで結果を出す! これがマインドアップ力です。
そして周囲にも目を配り、波及させて頂きたいと思います。
そして、その原動力は、やはり組織力ではないでしょうか? 組織力を向上させるのも人なのです。

新年を迎えるにあたって今出来る事を精一杯行う
 「どんなに悔いても過去は変わらない、どれ程心配したところで未来もどうなるものでもない、現在に最善を尽くす事である」
 という松下幸之助の言葉があります。これは、過去には様々な出来事があるが、その経験を生かす事しかできない事、未来を悲観したところで今の段階では何も出来ないという事であり、経験を生かす事は今出来る事を精一杯行うという解釈だと理解しています。

 今出来る事は、今しかない! 共にがんばりましょう!
 今年も宜しくお願い致します。