2015年 年頭挨拶11日)
 新年おめでとうございます。旧年中は、フード連合の運動前進のため、加盟単組の皆さま方には深いご理解とご支援、並びに、ご協力を賜り、ありがとうございました。

――衆議院選挙結果を受けて  
 昨年は、突然の衆議院解散を受け、各野党は準備不足の中での、大慌ての選挙となりました。
 また、我々も時間のない中、さらには、2015春闘の方針づくりの最中での出来事となり、十分な計画も立てられないままの支援となりました。
 そのような中でも、私たちの組織内候補である、神奈川10区の城島光力候補、また、政策顧問である京都3区の泉健太候補、香川1区の玉木雄一郎候補に対する連日の支援に、本当に多くのボランティア活動に励んでいただき改めて感謝いたします。

 結果、ご案内の通り城島光力候補におきましては、自民党候補に惜敗、泉健太候補については、比例での復活当選。唯一、玉木雄一郎候補が、見事小選挙区での当選を果たし勝利することができました。
 全体では、民主党は解散前の62議席から73議席へと11議席増やすことができましたが、海江田万里民主党代表が落選するなど、党に対する大きな課題が課せられました。
 一方、自民党は単独議席で291議席、自公で3分の2を維持し、当初予測されていた通り、安倍政権のさらなる続投が確認され、今の政策を継続、またはさらに推進することになり、私たちにとっては、新たな闘いが始まります。
 労働者を切り捨てた上での経済政策には断固反対し、安全で安定した生活が営める、そんな国作りを求めていかなくてはなりません。

――2015春闘に向けて 
 昨年の2014春闘は、長年続いたデフレ経済を脱却し、2%のインフレ経済を作り出すための、政労使による合意がなされました。
 フード連合としても、「要求にこだわり」、「月例賃金にこだわり」、「交渉のプロセスにこだわる」交渉を掲げ、各単組が取り組みました。
 さらに中小支援では、久しぶりの要求作りに対する中小労組の不安を解消するため、組織を上げてその支援にあたりました。
 その結果、一昨年の要求組合数を大幅に超える単組が要求をかかげ、2月末日を目標に要求提出ができました。さらに、ベアにこだわる交渉を続けた単組も多くあり、結果を残すことができました。
 しかしながら、春闘交渉は、過年度物価上昇分を引き出さなければ、実質賃金は目減りすることになり、そういった意味では、昨年は平均して不満の残る結果となりました。

 2015春闘は、そういった反省を踏まえ、昨年弱含みであった交渉から脱却し、全ての単組がしっかりと要求し、月例賃金の底上げをはかる取り組みが重要になってきます。
 円安による輸入原材料の高騰などの影響で企業業績が良くないなど、様々な課題がありますが、物価が上昇局面にあるこのタイミングでの取り組みが遅れれば、交渉どころかさらなる格差が生じ、いつまでたってもこの問題は解決できません。
 賃上げは業績で配分するという企業の考え方でいけば、いつまでたっても低位な賃金体系を続けることになり、労働力不足の時代の中では、優秀な人材が集まりにくくなり、結果として企業の生産性にも大きな影響を及ぼすことは間違いありません。
 今の経済は、需給バランスがもたらした物価上昇ではなく、円安などによるエネルギー関連の上昇や原材料の高騰による製品価格高騰です。いずれにしても、物価上昇に賃金が追いついていない状態であることは誰もが認知しているはずです。
 政府や経団連、有識者、勿論労働者、誰に聞いても賃金は上げるべきであると答えているのも事実です。では誰がそれを抑制するのでしょうか?
 労使が勇気をもって、社会的な役割を果たす、2015年はそのことが大きく問われる時だと思います。

――新年を迎えるにあたって
 春闘、組織拡大は大変重要なことですが、それを推進することが最も重要です。
 問題、課題の対象を練ることも重要ですが、前進させることが最も重要です。単なる対策の積み上げでは、何の解決にもつながらず、人が変われば意見も変わり、考えも変わってしまうのでは、何も変わりません。
 ミクロの論理も大事ですが、大きな視点はもっと大事です。
 今日のごはんも大事ですが、明日からのごはんのことを考える人も必要です。
 それは誰が考えるのでしょうか?
 やる気と行動力のみです。
 本年もどうぞ宜しくお願い致します。

(フード連合 会長 松谷和重)