年頭あいさつ11日)
 新年おめでとうございます。
 新たな気持ちで新年を迎えられ、今年一年の想いをそれぞれ祈願された事と思います。
 旧年中は、フード連合の運動前進の為、加盟組織の皆様方のご理解とご支援、並びにご協力を賜り、ありがとうございました。

◆取り巻く環境
 昨年は、アベノミクスの大胆な金融政策により、円高から円安の方向に向かい、大手輸出関連産業を中心に業績が向上しました。
 同時に、日経平均株価も大きく伸び、消費者物価指数も着実に伸びているとの報道もありましたが、我々労働者の多くは、その実態を感じる事はありませんでした。
 それどころか、私たち食品関連産業の多くは、原材料を輸入に頼っており、円安の影響で企業収益を大きく圧迫されています。

◆2014春闘
 政府は、デフレ脱却に向け、2%の物価上昇率を目標に掲げていますが、物価が上がり、更に本年4月より消費税が3%上昇する訳ですから、賃金も上がっていかなければデフレ脱却なんてあり得ません。
 そういった意味では、収益は、企業の内部留保ではなく、賃金に振り向けられ、適正に賃金を上昇させなければなりません。
 昨年、9月に開催されました、「第1回経済の好循環実現に向けた政労使会議」において、政府は、デフレ脱却は安倍政権の最重点課題である事に触れ、賃金を上昇させ、雇用を拡大し、経済を拡大させるとしています。
 また、経団連からも「個々の企業が置かれている状況は異なる」としながらも、「従業員の報酬を改善する事には前向きに捉えている」との発言がある事も事実であります。
 私は、企業業績を全く無視するつもりはありませんが、長年続いたデフレを本気で脱却するには、全ての企業が賃金上昇に向け、労使でしっかり話し合い結果を出す―その事が、消費者マインドを改善し、経済が好循環に向かっていくものだと確信しています。
 ここ数年、ベアはもとより要求すら出来ていない単組があったとするならば、賃金を上げる事に慣れていない役員がいるのも事実だと思います。
 また、交渉時点で、会社の業績を言われると、なかなか賃金アップには抵抗があるのかも知れません。
 しかし、ここ8年間の下落した賃金をいつ改善するのか。
 下がりっぱなしの賃金が、このままで良いのか。
 政府による賃上げ容認や、政府から企業に対する賃上げ要請が、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善を図る組織という「労働組合にとっての存在意義」をおびやかすと執行部が考えるなら、要求しない、或いは、共闘しない事の方が労働組合としての存在意義をおびやかすと思います。
 更には、2014春闘は、組合員のための春闘だけではなく、全ての働く労働者の賃金底上げに繋げる為の春闘である事を踏まえれば、組織する労働組合の役割・役目と責任は大きく重いものと思います。
 是非、働くものの連帯と、社会性を持った運動を展開して頂きたいと思います。

◆食の安心・安全 
 食品の安全・安心に向けた取り組みは、フード連合の最重点課題でもあり、そういった意味では、昨年11月ごろに、偽装・偽表示など等が発覚し、消費者に対し不安をあおる結果となりました。
 食品の表示に関する問題は、表示の定義がしっかりと定まっていないものもあり、一概に違法とは言えない部分はありますが、明らかに食材を偽装する行為などは、言語道断と言えるものです。
 過去の食品偽装問題を見ても明らかな様に、こういった行為は違法である事は言うまでもありませんが、企業の存続にも影響し、結果そこで働く労働者の雇用にも大きく影響を与える事には違いない訳です。
 私たち労働組合は、そういった企業が、健全な経営を行っているか、また、現場を預かっている組合員が、やってはいけない事にはっきりと「NO!」と言い、企業に対し、きっちりとチェック機能を働かせているのかが問われています。
 今一度、加盟単組に置かれましては、改めて「食の安全・安心」について再確認して頂きたく、新年早々ではありますが、要請するものであります。

(フード連合 会長 松谷和重)