年頭あいさつ11日)
 フード連合の組合員・ご家族の皆様、新年明けましておめでとうございます。年頭にあたり、本年が皆様にとって幸多き年となることを祈念いたします。
 昨年の衆議院選挙では、私たちの支持する民主党が惨敗し、自民党が政権に復帰するとともに、日本維新の会が躍進しました。今後の労働運動にとって“逆風”の時代が始まると見なければなりません。
 そうしたなかで、今年は参議院選挙が行われます。あの明治維新が10年かかって完結したように、いま私たちは大きな歴史的転換期に立っています。保守と新自由主義勢力のみが肥大化したのでは、貧困と格差が拡大し、この国を危うくします。“対抗軸”として、働く者の声を代弁するリベラル勢力の総結集が必要です。参議院選挙では、民主党を主軸としたリベラル勢力の躍進をめざす必要があります。
 フード連合は、昨年11月に結成10年を迎えました。この10年間でどんな変化があったでしょうか。食品業界では消費者の安全・安心意識の高まり、人口減少と少子・高齢化、デフレ下での、グローバル化と低価格競争が進んでいます。一方、変わっていないのは低い労働条件です。
 なぜ、食品労働者の労働条件は低いのでしょうか。フード連合の組織人員は約10万5,000人ですが、食品製造業で働いている労働者は132万人と言われており、1割も組織化していません。労働組合の影響力が産業全体に波及していないのです。また、産業政策の取り組みが弱かったことも要因だと思います。
 食品労働者の労働条件と社会的な地位の向上のためには、食品の仲間を増やし、組織を拡大する必要があります。そして、食品労働者全体を視野に入れながら、産業政策を実現する「力」を持たなければなりません。産業別労働組合の役割は、個別の単組・労使では解決できない産業課題に取り組むことです。食品産業に大きな打撃を与えるTPPへの参加の動きもあります。こうした課題や産業政策を実現させていくためには、当然、政治の取り組みが必要です。

 2013春闘の取り組みがスタートしました。
 食品製造業で働く労働者の賃金は、製造業23業種中21番目であり、年々低下傾向にあり、個別賃金で比較してもこの8年間で約1万円下がっています。また、4月から改正高齢者法が施行されるとともに、公的年金の報酬比例部分の支給開始年齢が段階的に引き上げられます。60歳以降の雇用保障は大きな課題です。
 春闘は、労働力の価格を決定する年に一度の“契約交渉”です。今春闘でフード連合は、連合方針を踏まえ、適正な配分と全体の賃金水準の改善、中小労組への支援、非正規労働者の処遇改善、65歳までの雇用保障等に取り組みます。
 これからの10年を展望し、フード連合が産別としての「力」を持っていくためには、食品の仲間を増やすという組織の拡大と食品産業政策を実現させる「力」を持つことに加えて、“食の専門店”の産別として、共感を得る活動を社会に発信していくことが必要だと思います。
 結成10周年記念行事として、昨年10月に「ガーナ・スタディーツアー」を企画し、参加者は児童労働の実態を見て、聞いて、感じとってきました。
 かつてインドが貧困に苦しんでいた頃、日本に来たインドのインディラ・ガンジー首相は、「インドに希望はあるのか」という質問に対して、「インドには希望がある。子どもたちの目に希望の光があるからだ。あの子どもたちの目の輝きがある限り、私は希望を捨てない」と応えたそうです。ガーナの子どもたちの写真を見るたび、この言葉を思い出します。
 私たちフード連合が、児童労働や貧困という社会の不条理に対して何ができるのか。企業の外にも目を向けて、社会的な役割をどう発揮していくのか。皆さんと一緒に考えていきたいと思います。