震災も原発事故もまだ何も終わっていないことを加盟組合の皆さんに伝えてほしい―江森会長、震災1年目の節目に被災地中小労組を激励訪問―43日)
 江森会長は、3月28、29日の両日、東日本大震災から1年が経過したことを受けて宮城、福島両県で被災した中小労組4組合(宮城ゼライス労組、柏屋労組、内池醸造労組、東北協同乳業労組)を激励訪問した。
 宮城ゼライス労組(宮城県多賀城市)は津波で工場が壊滅的被害を受け、この間、雇用調整助成金を受けながら復旧に向け頑張ってきた。
 緑山委員長は「4月からようやく雇用調整助成金の申請を打ち切り、従業員全員が職場に復帰することができます。売上はまだまだピーク時には遠く及ばないものの、やっとここまで来れたかな、という感じです」と語る一方、「原発の影響は少なからずある」とも語る。
 柏屋労組(福島県郡山市)は「薄皮まんじゅう」で有名な創業160年の老舗菓子メーカーではあるが、原発による風評被害で売上が激減、賃金カットを余儀なくされたが、今年1月にようやくカットが解消された。
 武田委員長は「この間、菓子部会の皆さんを始め、各地域の皆さんの支援に支えられ、あと一歩のところまでくることができました。これもひとえにフード連合、連合に加盟していたおかげだと感謝しています」と語る。しかし「被災した地域から遠くになるに従って、震災も原発もニュースにならないせいか、皆さんの意識から離れているような気がします。どうか加盟組合の皆さんには震災も原発事故もまだ何も終わっていないし、これからなんだということを伝えてほしい。」と江森会長に強く要望し、会長も強い決意を込めて、うなづいた。

柏屋労組武田委員長らを激励する江森会長
 内池醸造労組(福島県福島市)は老舗の醤油・味噌メーカー。震災で醤油の醸造タンクの多くが倒壊したため、福島県味噌醤油工業協同組合から原料を調達し、復旧に努めてきたが昨年12月にようやくタンクが復旧した。
 伊藤委員長は「ラベルに福島と入っているとやはり敬遠されてしまうのです。心情的には理解できますが、私たちも検査を通して安全な数値のものを作っていますので理解してほしいです。」と不安を隠さない。
 東北協同乳業労組(福島県本宮市)は原発事故の影響で福島産の原乳の出荷停止や風評被害によって売上が減少し、賃金カットを余儀なくされた。賃金カットについては東京電力からの補償で3月にいったん組合員に全額戻ってきたが、風評被害による売上の減少は収まる気配が見えず、会社からは新たな賃金カット継続が申し入れてされており、宝槻委員長は「やっとこの間の賃金カット分が戻ってきて組合員が喜んでいたのに。」と肩を落とす。
 1年が経過した3月11日の近辺は様々な報道がなされていたが、その後はマスコミが取り上げる機会が減ってきているのも事実だ。それぞれの委員長が話すように、ニュースに流れないからと言って、被災した現地にある大量のがれきがなくなったわけでも、原発事故での風評被害に悩む多くの人たちいなくなったわけでもない。
 その意味で、私たち産別はマスコミとは違った視点で、この震災をそして原発事故の影響を加盟組合の皆さんに伝えていく責務を再認識しました。
(北海道・東北ブロック局長 古山寿幸)