IUF−アジア太平洋地域総会に出席して111日)
IUF-JCC加盟産別の参加者
 10月17日から20日にかけて、IUF−アジア太平洋地域総会が開催され、フード連合からは江森会長(IUF/JCC議長)、金前副会長(IUF/JCC前議長)、立石副会長(キリンビール労組委員長)、山本事務局長、近藤中執(ジャパンファーム労組書記長)の5名に加え、中田IUF/JCC事務局長(フード連合特別中執)、味の素労組の柴原事務局長と高井中執が参加しました。
 まず初日に地域委員会と女性会議が行われました。

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IUF-AP女性委員会

 女性会議では、各国の女性代表者が約30名参加し、地域女性委員会の活動報告が行われました。また地区(北東アジア・東南アジア・南アジア・太平洋)毎に、各国・単組の状況等について発表しました。私は北東アジアの枠で、フード連合の行っている「ポジティブアクション20」への取り組みと、昨年改定された「改正育児・介護休業法(主に育児休業)」について発表しました。特に日本の育児休業法については色々質問があり、アジアの地域では母性保護の観点から産前産後休暇はありますが、育児休業についてはまだ無い様で、その中でも父親も育児休業を取れる法律には興味を持ってもらえたようです(日本でも男性育児休業の取得率はまだまだ低いですが)。その後グループディスカッションが行われ、女性労働者に対する差別を無くすために何が必要なのか話し合われました(団体交渉の場に女性の役員がいると、違和感もつ男性がいる国もあるそうです)。私の班は食品加工の集まりでしたが、女性訓練教育プログラムの実施や、各団体での女性委員会の設立が必要等の話が出ました。

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江森会長が大震災義援金のお礼と風評被害に関するお願いをする

 18日から20日の3日間は、地域総会が行われました。冒頭、江森会長(IUF/JCC議長)から、東日本大震災の際の加盟各国からの義援金に対するお礼と、風評被害に関するお願いで総会が始まりました。その後、5年に1度の総会のため、この5年間の取り組みの報告、その後、向こう5年間の取り組みを確認しました。その中で、「不安定雇用から正規雇用へ」を優先課題とし、これに付随して組織化の推進を図ることが確認されました。これについてはいくつかの事例が報告され、特に印象深かったのは雇用契約書が無く、従業員本人が知らない間に知らない派遣先から派遣されていることになっている事例があることでした。その場合、正規雇用してほしいと会社に交渉を申し入れても、「この人は従業員ではなく、別の会社からの派遣だ。」と言われ、交渉先を分からなくしてしまうと言う会社の手段には驚きました。
 また多国籍企業の組織化についても話があり、日本の多くの企業が海外の工場を持っているので、組織化へ向けて様々な問題等はあると思いますが、日本の労働組合に期待されることも多いことを感じました。
 21日と22日は伝統農業の視察と、ヌサ・ドゥア地区とクタ地区のIUF加盟単組を訪問しました。取り巻く環境が同じことも違うこともありましたが、色々な意見交換を行いました。

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アジア太平洋地域の雇用問題に耳を傾ける

 今まで日本の労働運動しか知りませんでしたが、アジア地域ではまだまだ労働者の地位が確立されていない国も多いことを知りました。そして、それらの国で働く労働者の方々がIUF−アジア・太平洋地域委員会に求める支援はとても切実だと感じました。
 最後に地域総会が終わった後、野外での食事会がありました。そこで参加者皆で輪になって踊ったとき、国や取り巻く環境や文化も違うけれども、同じ食品業界で働く労働者としての一体感のようなものを感じました。これらの経験を忘れることなく、今後も労働運動に取り組んでいきたいと思います。

(ジャパンファーム労働組合 近藤友加)
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会議には、16カ国から150名が参加 山本事務局長が「食の安心・安全」を語る