「農業・医療制度・労働問題等が大変。今なぜTPP交渉参加なのか」を考える1018日)
農業と工業製品との対立軸という観点だけで論じるべきではない(10月18日)
 TPP(環太平洋経済連携協定)を慎重に考える会(会長:山田正彦前農林水産大臣)は、10月に入って勉強会を3回にわたって実施し、「日本を滅ぼすTPP交渉への参加を止めよう」と主張しています。
 TPP問題は、国内農業の壊滅と産業の空洞化など、農業と工業製品との対立軸を中心にマスコミで大きく取り上げられていますが、この外にも医療制度や労働問題、金融サービスなど24分野と多岐にわたり国民生活全般に影響を及ぼします。そしてこれらの分野にまで市場原理を持ち込めば、医療制度においては「国民皆保険」が危うくなり、低所得者は医者に掛かれなくなる、労働分野では外国人単純労働者の流入に歯止めが掛からなくなること等を危惧し、交渉参加に反対しています。

多くの国会議員も参加した(10月12日)
 もちろんこうした背景には、野田政権が11月中旬にハワイで開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で「一定の結論(参加の方向)を出す」としているからです。そして現在民主党内でTPPに関する議論を展開しているものの、一部の情報開示しかなされていない中において、TPP推進論と反対論が真っ向対立している状況では「今なぜTPP交渉参加なのか!」と危機感を募らせています。推進派の声として、「国益」を主張しますが、国益とは何でしょう?国民の生活や命が守られることであり、決して国内産業が優先されることではありません。
 フード連合本部役員も、3回にわたる勉強会に複数人で参加してきましたが、正直皆さん、「なぜ今TPP交渉に参加なのか」は理解できなかったです。外務省や厚生労働省役員が国会議員に説明するものの、資料は乏しく、TPP交渉の中身が全く公表されないなど不十分なものでした。このように、国民はもとより国会議員の中でも議論がされていない実情を強く感じてきました。
(文責:フード連合 組織・中小局長(組織拡大・労働相談担当) 森下冨士男)