2011春闘4月段階の取り組み強化に向けた談話45日)

日本食品関連産業労働組合総連合会
事務局長 江森 孝至

  1. 非正規労働者の増加、賃金の下落傾向と労働者への配分の歪み、大手と中小との賃金格差の拡大などのなかで、2011春季生活闘争は労働条件の復元と格差の是正、すべての労働者の条件向上をめざして取り組まれている。
     3月11日段階の連合の要求集計によれば、平均賃上げ方式で2,170組合が要求を提出し、昨年と比べて1,037組合の増となっており、金額では、特に300人未満の中小組合が500円の増となっている。また、非正規労働者の処遇改善の取り組みは1,124組合で、570組合の増となっている。
     こうしたなかで、集中回答指定日目前の3月11日に東日本大震災が発生した。災害対策を優先し、交渉を中断した組合が増加したものの、連合が4月1日に集計した1,137組合の妥結水準は、加重平均で5,305円(1.79%)となっており、昨年より119円上回っている。また、300人未満の中小組合では、賃金カーブ維持分である4,500円以上を獲得した組合が半数を超えている。
  2. フード連合の3月9日現在の平均賃上げ方式84組合の要求水準は5,824円であり、昨年の同時期と比べて118円上回っている。また、パート労働者の処遇改善は33組合、最低賃金の協定化と水準の引き上げは53組合が要求するなど、昨年以上に多くの組合が要求している。
     こうしたなかで3月11日に大震災が発生したことから、3月14日、フード連合は集中回答指定日での回答の引き出しを基本とする一方で、大震災への対策を優先せざるを得ない組合は、回答指定日を変更するなどの対応もやむを得ないとする考え方を発信した。
     3月31日集計のフード連合の妥結組合は58組合であり、平均方式の加重平均で5,560円(1.81%)となっている。昨年の同時期同組合と比べて148円上回っており、10組合ではベアや賃金改善を、また、4組合ではパート労働者の時給の引き上げや条件の改善等を勝ち取っている。
     大震災という厳しい状況下にあっても、各組合が役割と責任を自覚して情報を公開し、交渉を強化してきた結果である。今後交渉を行う組合は3月段階の妥結結果も踏まえ、大震災を理由とした理不尽な経営側の主張は許さず、毅然とした姿勢で交渉を展開するよう要請する。
  3. 交渉を中断している組合や中小組合にとっては、これからが本番である。
     フード連合は、「中小労組支援センター」を設置して、中小組合に対する支援体制を強化している。自らの賃金水準や格差の実態等を把握して、要求の根拠を持って交渉を強化し、定昇制度の確立とともに、賃金カーブ維持分に加えてベアや何らかの賃金改善を引き出し、実質賃金の維持と格差の是正分を獲得するよう要請する。また、業種別部会や大手組合に対しては、中小組合やグループ企業の賃金交渉に対して情報の開示をはじめとした支援体制を取っていただくよう要請する。
     フード連合本部も、各組合の交渉を支援・強化していくため、引き続き、的確な情報発信と中小労組支援等を行い、全体の底上げをはかっていく。
     大震災に負けず、要求の実現に向けて、最後まで頑張ろう。
以 上