「TPPが日本の農業・食品産業等に及ぼす影響」について勉強会を開催!1228日)
横山参事官と中央執行委員
 12月22日(水)、第3回中央執行委員会の前段に、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)をテーマに、勉強会を実施しました。農林水産省大臣官房参事官の横山紳氏を講師としてお招きし、TPPが日本の農業・食品産業等に及ぼす影響について、お話頂きました。勉強会の内容要旨は以下の通りです。また、詳細は添付資料をご確認ください。

<食料需給の動向>
 世界人口は、2050年には91億人に達し、人口増加に伴う食料消費の増加に生産が追い付かず、食料需給はひっ迫し、食料価格は今後高止まりすると予測されている。一方、日本はカロリーベースでの食料自給率を2020年度までに50%とする目標を掲げているが、食生活の大幅な変化(米の消費の減少、畜産物等の消費の増加)を背景に、2009年度現在では40%にまで落ち込んでいる。

<農業・農村の課題>
 日本の農業・農村は、農地の減少(45年間で2割減)、農業者の高齢化(平均年齢65歳・後継者難)、農業所得の低下(15年間で半減)など、ここ10数年で危機的な状況が一層深刻化している。

<TPPの現状>
 TPPは、原則関税撤廃をめざす広域経済連携協定であり、現在、シンガポール・ブルネイ・ニュージーランド・チリに、アメリカ・オーストラリア・ペルー・ベトナム・マレーシアが加わって交渉を進め、2011年11月のAPECまでの交渉妥結をめざしている。
日本はTPPへの参加に対して、「関係国との協議を開始する」としているが、新規で交渉に参加するには、現在交渉している9か国の同意が必要であり、特定分野の自由化を除外した形での交渉参加は認められない可能性が高い。特にアメリカからは、牛肉や非関税障壁等への対応を求められると予想される。

<TPP参加の影響>
 各省が行ったTPP参加による影響試算は、1)全体では、実質GDPは2.4兆〜3.2兆円増加する、2)農業対策を何も行わない場合、農林水産業の生産額は4.5兆円減少し、食料自給率は13%に減少する、等が発表されている。
 農産物については、特に、コメ・小麦・甘味資源作物・牛乳乳製品・牛肉等が壊滅的な打撃を受けると試算されており、生産者・関連事業者・農畜産業地域に大きな影響がある。

<農業分野への対応>
 政府は2010年11月、「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定した。この基本方針では、1)日本を取り巻く環境と高いレベルの経済連携推進、2)包括的経済連携強化に向けての具体的取り組み、3)経済連携交渉と国内対策の一体的実施、について記述している。
 国内農業への対策として、食料自給率の向上・農業/農村の振興・持続可能な力強い農業の育成のため、「食と農林漁業の再生推進本部」の設置を閣議決定し、2011年6月を目途に基本方針を策定、10月を目途に行動計画を策定するとしている。

以 上

※詳細は、以下の添付の資料をご参照ください。
資料:TPPが農業・食品産業に及ぼす影響