中国産冷凍ギョーザ事件の真相究明を求める談話430日)
日本食品関連産業労働組合総連合会
事務局長 江森 孝至

1.2008年1月に発覚した中国産冷凍ギョーザによる薬物中毒事件の容疑者である「天洋食品」元臨時従業員が、中国公安省に「農薬は冷凍ギョーザが梱包された段ボール箱の外から、注射して混入した」と供述していることが、29日判明した。
フード連合は、犯行の真相究明が一歩前進すると受け止めており、今後の中国での捜査が透明性を確保しながら行なわれるよう求めるとともに、推移を注視していく。

2.事件発覚当初、天洋食品と中国公安当局は中国での薬物混入を否定してきた。しかし、2008年8月に中国国内でもギョーザ中毒事件が発生していたことを認めて以降、捜査体制を強化し、今年4月3日、中国警察当局は拘束していた容疑者を逮捕して今回の供述を引き出したものである。
フード連合は、日中両国が連携して真相の究明を行なうとともに、中国に対しては再発防止策を徹底することを要請するものである。

3.フード連合は、今回の事件が発覚した直後の2008年2月1日に「中国産冷凍ギョーザによる薬物中毒事件に対する談話」を発表した。そのなかで、「政府は、関係企業や中国政府とも協力して、冷凍ギョーザを製造した『天洋食品』で、薬物がどこで、なぜ混入したのか早急に調査し、結果を公表するとともに、中国政府に対して徹底した再発防止策を要求すべきである。」とした産別としての見解を明らかにした。
また、本中毒事件を契機として中国産の食品に対する消費者・国民の不信が高まるとともに、冷凍食品全体の消費が大きく落ち込む中で、フード連合は、連合とも連携しながら、関係省庁や関係業界団体等に真相究明の要請行動を実施してきた。

4.今回の容疑者の逮捕と供述は真相究明にむけて一歩前進ではあるが、事件発生以降2年以上も経過して、なぜいま容疑者が逮捕されたのか。日中両国の連携が不十分であったことも強く指摘しなくてはならない。
フード連合は、食のグローバル化が進んでいるなかで、食の安全・安心を確保していくため、自らの職場の点検活動はもとより、輸入食品に対するチェック体制の強化を引き続き経営に対して求めていく。また、政府に対しても、「国際食品調査官」の配置による海外での検査体制や国内の検疫体制の強化など、輸入食品の安全性の確保と、事件が発生した場合の国を超えた迅速な対応を求めていく。
―以 上―