会長年頭あいさつ 2009春闘は労働組合が力を示すとき11日)
フード連合会長 渡邉和夫
フード連合会長 渡邉 和夫

 フード連合に集う組合員の皆さま、ご家族の皆さま、明けましておめでとうございます。本年が皆さまにとりまして、良き年となりますことを心からご祈念申し上げます。
 さて、昨年を振り返りますと、世界的な金融危機による景気後退が顕著となり、アメリカ流の市場原理主義の終焉が指摘される一方、「変革」を掲げた民主党のオバマ氏が黒人として初めて次期大統領の座に着くことになるなど、変化の兆しが示された年でした。我が国では福田首相が政権を放り投げ、麻生内閣が誕生したものの支持率は低迷を続け、野党からの解散を迫る声には耳を塞いだままで、政局は混迷の度を増しています。
食品業界を取り巻く環境が日毎に厳しくなっておりますが、特に、食の安全・安心を巡る問題はメーカーによる品質管理の徹底だけでは解決しえない、多様な観点からの対策が求められる状況にあることが明らかです。フード連合としても、消費者の食に対する関心の高まりをふまえ、食品産業に働く者の立場から信頼回復に向けた一層の取り組みを進めたいと考えます。
 年が明けて、09春季生活闘争が始動しています。景気の先行きに厳しさが予想されるものの、私たちは生活者としてまずは自らの家計を守っていかなければなりません。この間、いざなぎ景気を越える景気拡大局面が続きましたが、私たちはそれを実感として受け止めることは出来ませんでした。毎年可処分所得のマイナスが続き、労働分配率も低下していましたから当然といえば当然のことでしたし、「格差社会」が出来上がってしまったわけです。私は今こそ、労働組合がその力を示す時だと考えます。企業経営者は、そこに働く社員をもっと大切にするべきですし、ステークホルダーとしての社員をないがしろにして、企業の社会的責任が果たせるはずもありません。労働組合は社員を代表し経営に対して、そのことを堂々と主張すべきであります。
 今次春季生活闘争を通じて、あるべきこの国の姿やのぞましい企業の行動原理とは何かを労使がしっかりと議論することがのぞまれます。構成組織の皆さんのご奮闘に強く期待しています。
 また、今年は総選挙の年でもあります。今日の社会状況を見た時、私たちにはもはや「政権交代」以外の選択肢はないと言えるのではないでしょうか。それを実現することが、本年を良い年にする何よりの方法だと考えます。どうぞよろしくお願い申し上げます。