フード連合第8回定期大会 会長挨拶911日)
運動推進を訴える
 フード連合第8回定期大会に全国各地からご参集いただきました大会代議員、ならびに大会オブザーバーのみなさま大変ご苦労さまです。また、本日は、大変お忙しいなか、本大会の激励のためにご来賓のみなさまにご臨席をいただいております。連合からは古賀事務局長、食品産業政策推進議員懇談会からは、この度の総選挙で8回目の当選を果たされました川端衆議院議員、財団法人食品産業センターからは西藤理事長、IUF・JCCからは見里事務局長にそれぞれお越しいただきました。ご来賓のみなさまに方には後程ご挨拶を頂戴いたしますが、日頃からの、フード連合に対しますご指導とご厚誼に心から感謝申し上げます。

 ここで改めまして、会場のみなさまの拍手で御礼に変えたいと思います。本日は誠にありがとうございます。
 さて、ご参加のみなさまには昨年の定期大会以降、運動方針の実現に向けてそれぞれの立場でご協力をいただきましたことに御礼申し上げる次第です。

 本日からの第8回定期大会は向こう2年間の運動方針を決定する重要な議論の場であります。産別運動の前進に向けて、ご出席のみなさまの積極的な討論への参加を期待するものであります。
 また、すでに開会挨拶でもふれられておりますが、大会の冒頭にあたり、私からも先頃行われました第45回衆議院議員選挙における加盟組合みなさまの全国各地でのご奮闘・ご協力にまずもって感謝申し上げる次第であります。

 4年前の悪夢のような小泉郵政選挙によってもたらされたわが国の政治的閉塞状況は、国民の不満を募らせることとなり、それが歴史的な政権交代に直結したわけです。何よりも私たちのこの間の、「国民生活重視、格差社会にストップを」の運動が大きな流れを作り出すこととなったのであり、素直に喜び合いたいと思いますが、同時に民主党政権になったからといって全ての課題が一拠に解決されるものでないことは自明であります。
 また、私たち労働組合が政権与党を支持する立場に立つのは実質的には初めてのことであり、社会的にも注目を集めるなかで、自らの立場と責任について再認識する必要があろうかと考えます。
 フード連合にとっても、産業政策を推進するうえでは新たな局面に入ったわけですし、何よりも連合をはじめとする多くのみなさまに支えられ、城島顧問の当選を勝ち取ることができたことを忘れてはならないでしょう。
 私たちの生活が政治と密接不可分であることが、この間の政治情勢の変化のなかで、より、鮮明になってまいりました。それぞれの加盟組合においても、イデオロギー対立等の歴史的経過があるなかで、政治については不介入といいますか取り組まないことを組織方針としている単組もございますが、この機会に一歩でも半歩でも前へ出ようとする論議をスタートさせていただきたいと考えております。

 私たちが働く食品産業に目を転ずれば、人口減少時代に入り食料消費の量的拡大が見込めないなかで、生き残りをかけた熾烈な競争が展開されています。
 すでにご承知の通り、企業間の合従連衡や事業再編などが早いスピードで行なわれており、グローバルな市場競争の拡大に対応して、これまででは想像できなかった構造変化が起きようとしています。
 私たちは、労働組合として職場で働く組合員が、生活と雇用の将来に対して不安を抱かぬよう、経営施策の展開にあたって労使間の事前協議制の徹底を今一度担保する取り組みを強める必要があります。ややもすれば労働条件の不利益変更を伴う内容が、インサイダー取引に抵触することを理由に、労働組合との協議なしに押し進められる事例が少なくありません。
 労働組合が決定した経営施策を事後追認するだけの機能しか持ちえないのであれば、真の労使の信頼関係は確立できないことを肝に銘ずるべきであります。また、フード連合としては産別に求められる役割として、こうした今日的な経営に関わる諸問題に対する対応指針等を迅速に示していけるよう検討を深める必要があると考えております。

 一方、低成長経済のもとで、産業構造をどう転換させていくのか、未だ不透明ななかで諸外国との自由貿易交渉はさらに加速されていきます。食料自給率の問題にしてもその向上策は具体性に乏しく掛け声倒れに終わる危険性が高いように感じられます。
 フード連合としては、今回の総選挙の結果を受けて私たちの産業政策をより骨太で確かなものにしていくことが必要でありますし、今後の食品産業政策推進議員懇談会のあり方や構成等についても再検討の必要があると考えます。
 昨年のリーマンショック以降の世界同時不況の局面から、改めて内需型産業の復権を求める論調が高まりを見せていますが、それを現実していくうえでは、まず労使双方が、個々の企業課題のみにとらわれ、そこに埋没するのではなく、広く魅力にあふれた食品産業、夢を描ける食品産業づくりに共に挑戦する姿勢が必要となります。
 そうした点からは「食の安全・安心」の取り組みも消費者からの信頼を回復させるまで、引き続き続けなくてはなりません。同時に企業収益を最優先させる経営体制を残したままでは消費者の安全も守れないばかりか、職場の安全・衛生すらないがしろにされてしまいます。私たちは「労働の尊厳」を大切にしていかなくてはなりません。働き方の改革を進め、真のワーク・ライフ・バランスの実現に向けてなお一層の努力を重ねていきましょう。

 さて、今定期大会では2009春季生活闘争のまとめ(案)について提案させていただいております。2009春季生活闘争は、ご承知のように大変厳しい環境下で闘われ、連合全体としても前年を675円下回る結果に終わることとなりました。こうしたなかで、フード連合は議案書にあるとおり平均賃上げ方式で5,394円1.86%前年比250円のプラスという結果となりました。加盟組合それぞれの努力が集積されたものであり、相対的な比較でもよく闘ったとの評価をいただいておりますが、その中身を精査していけば手放しで喜べるものではありません。課題として何点かにわたって示されているとおりでありますので、引き続き、産別と単組それぞれの立場で、改善を図っていきたいと考えます。加えまして、賃上げのみならず労働条件全般にわたってみたときには、フード連合としてなお一層の底上げを図る必要性を感じざるをえません。
 昨秋から連合方針に準拠して年間所定労働時間2,000時間超えの単組をなくすプロジェクトチームをスタートさせました。加盟組合の約3分の1が未だに未達であり、労働組合の悪弊として方針は立派に立てたものの、ややもするとその実績検証は杜撰に済ませてしまうきらいがあるという風に感じております。しかし、こうしたことを繰り返していると職場の組合員は執行部のやる気を疑うようになるものです。年間所定労働時間2,000時間超えについていえば、これを放置したままでいたならば、労働組合としてその責任は極めて重いものがあると認識してください。
 本大会を通じて、私はそのことを強くみなさんにお訴えしたい。要求し、交渉し、是非とも前進を図っていただきたいと考えますし、フード連合としてもしっかりとバックアップしたいと思います。交渉を取り巻く環境が困難であることは十分承知したうえで、ご参加のみなさんの一層のご奮闘に期待しております。
 2010春季生活闘争も基本構想をどう描くかという点からは大変難しい春闘だろうと思います。連合の動向をふまえながらフード連合としてもていねいな議論を重ね、そのうえでスローガンにもあるように「力をひとつに」できる体制づくりをめざしたいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 今定期大会はフード連合が結成され7年目となる大会であります。2002年11月の結成大会時の熱き初心を今一度想起し、足らざるは補いつつ会長として運動を再始動し、リードしていきたいと考えております。
 また、来たるべき10周年に向けて、食品産別運動の強化のために、中期的ビジョンの策定について研究してみたいと思っております。折しも今年は、連合が結成されて20周年となります。連合ではこの節目の年にあたりプロジェクトを設置し、労働運動がその役割をさらに発揮するための改革論議をすすめています。フード連合としても、こうした論議を自らのものとして受け止め、産別運動の活性化、ブラッシュアップを図っていくとともに、加盟組合に対しましても情報の提供や問題意識の喚起に努めてまいります。
 労働組合の組織率が年を追うごとに低下し、その社会的影響力は弱まっていると言われて久しいわけですが、世界に冠たる雇用社会である日本にあっては労働組合の負うべき社会的責任もまた大変大きなものがあります。今日、雇用動向も戦後最悪の状態であり、「労働を中心とした福祉型社会」という私たちがめざすべき社会の姿からは程遠い現状におかれています。私たちは昨年社会問題化した派遣切りに見られるような非正規労働者に関わる公正処遇の取り組みや最低賃金の引き上げなどの課題に対しても、広く運動のウイングを拡げていくことが求められています。
 加盟組合のみなさまには、わが国は企業別組合ではあるものの、企業の内と外のいずれの課題についても目を逸らすことなく正面から対処していくのが真っ当な労働組合の活動であることを改めてご理解下さるようお願い申し上げます。

 最後になりますが、みなさま方のご奮闘もあって、民主党を中心とした新しい政権が今まさにスタートいたします。日本が変わろうとするこの時に、私たち労働組合もしっかりと自己変革を遂げ、公正・公平な社会の実現に向けてその役割を果たしていきましょう。本日からの定期大会がみなさまの真摯な討論により実りのあるものとなることをご期待申し上げ本部を代表しての挨拶とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。

以上