第5回中央委員会を開催
2つの議案と特別決議を決定(1月29日)
 フード連合は、1月29日、東京・TOC有明コンベンションホールで第5回中央委員会を開催した。提案された@2007春季生活闘争方針A第21回参議院議員選挙および第16回統一地方選挙の取り組みの議案を決定するとともに、「食の安全・安心を確保するための特別決議」を承認しました。
 挨拶に立った渡邉会長は、2007春闘について「怒り」をエネルギーに変えて闘っていこうと訴えました。また、内需関連産別のUIゼンセン同盟やサービス・流通連合などとともに「有志共闘」に参加し、3月14日を中心とした第1次回答指定ゾーンに、金属労協などと平行して決着していく体制をとっていく。と述べました。

第5回中央委員会 会長挨拶

2007年1月29日


 フード連合第5回中央委員会に全国各地からご出席をいただきました中央委員並びにオブザーバーのみなさん、大変ご苦労さまです。昨年の定期大会以降、それぞれの立場で運動方針の実現に向けて奮闘いただきましたことに、まずもって敬意を表しますとともに、心から御礼申し上げる次第です。
 本日の中央委員会は、2007春季生活闘争に臨むフード連合の方針を決定するとともに、"政治決戦"の年といわれるなかで、4月の統一地方選挙さらには7月の参議院選挙に対する取り組み方針を確認する重要な場であります。皆さんの積極的な討論への参加をお願い申し上げます。

 さて、本論に入ります前に、この間マスコミを賑わしております不二家の一連の不祥事について言及せざるをえません。
 フード連合としては、この件について報道された直後の1月11日に、事務局長談話を発表しておりますが、この間の事態の推移は我々としても憂慮すべき状況として把えざるを得ず、誠に遺憾であります。後程、当該労組からも報告があろうかと思いますが、フード連合として結成以来(2002年11月)「食の安全・安心」を揺るがす事件は再び起こしてはならないとの強い思いから、運動の重点課題に据えて取り組んできたにもかかわらず、こうした事態に立ち至ったことに対して率直に反省し、検証していく必要があろうかと考えます。それはひとり不二家労使の問題ということではなく、この間の私たちが進めてきた「食の安全・安心の確立」へ向けた取り組みが、どれだけの内実=実質を持ちえたのかという自らに対する問いかけであります。
 今日、あらゆる評価や判断の軸は「そのことは消費者の利益にかなうかどうか」という点にあります。私たちはそれを肝に銘じつつ、労働組合として経営に対するチェック機能を強化し、役割を果たしていくために、組合員一人ひとり、組織の隅々までの真の意識改革を進める必要があります。全構成組織が初心にかえり、今ここで自らの取り組みを再点検して下さるよう要請致します。そのうえで、不二家労働組合に対して、食品に働く仲間の連帯行動として、私たちに可能な支援の形を今後追求していきたいと考えます。
 さて、2007春季生活闘争についてであります。今春闘は「いざなぎ景気」を超える戦後最長の景気拡大局面で闘われるわけでありますが、私たち労働者はこの好景気を全く実感できないでいます。社会の分配構造が歪み、格差社会が現出しています。格差をもたらした市場原理主義は、経済効率優先の強者の論理で貫かれており、国民生活全体の底上げを図るのではなく、政府のいう構造改革の名のもとに、多くの働く貧困層を生み出してきました。
 私はそうした意味で今春闘を闘うキーワードは「怒り」だと考えています。それはまさに正義の名のもとでの「怒り」であり、この怒りを春闘交渉のエネルギーに変えて闘っていただきたいと考えます。具体的な方針は後ほど提起いたしますが、環境的にも本来しっかりと要求し、しっかりと獲得すべき時、あるいは獲得できる時であります。「怒り」のエネルギーの強さが、成果の高さに直結する時を今私たちは迎えているのです。
マクロの議論でいえば政府首脳も後押しするように、労働分配率が改善され、「生産性三原則」に則った公正な分配がなされてしかるべきでありますが、日本経団連は国際競争力の強化と自律的な働き方を求め、賃上げの横並び排除と好業績は一時金でといった主張に終始しています。御手洗会長による新体制となって以降、「人を大切にする」という視点が大きく後退したと言わざるを得ない状況にあります。
 食品産業について言えば、この間、春季交渉は個別労使による自主決着で推移してきました。従って横並び批判とは無縁でありましたが、むしろ今次07春闘では、怒りをバネとして、横並びではなく「共闘体制」として連携し、ヤマ場での賃金引上げを図っていきたいと考えております。具体的には、内需関連産別としてUIゼンセン同盟、JAM、サービス・流通連合、JEC連合、フード連合等による「有志共闘」がスタートしますが、これに参加し、3月14日を中心とした第1次回答指定ゾーンに、金属労協などと並行して決着していく体制をとります。そのために、前年を上回る一定水準の賃金獲得をめざす単組を個別にエントリーし、後に続く中小労組への波及効果を高めたいと考えています。
 いずれにしても個々の労使交渉は、業績や賃金水準等々ミクロの指標を中心に展開されるわけですから、各単組としても主張すべき論点を事前に十分整理・準備し、成果につながる交渉にしていただきたいと考えます。
 今年取らなかったらいつ取るんだという気概と組合員のみならず、パートタイマーなど職場に働くみんなが注目していることを意気に感じて是非とも交渉をリードして下さい。
2007春闘は労働の尊厳を守り、社会的分配の歪みをただす闘いです。それぞれが果敢な労使交渉を展開し、食品労働者全体の地位と労働条件の向上にご貢献下さるよう念願いたします。
 続いて、私たちの生活と密接不可分である政治についてであります。ただ今申しましたように、私たちは07春闘を通して格差是正に取り組もうとしていますが、今日の社会状況は何によってもたらされたのか、生み出されたのか、今一度考えてみる必要があります。
市場万能主義あるいは株主主権主義、こういった言葉が大手を振ってまかり通る社会となり、かつては考えも及ばない凶悪犯罪やおどろおどろしい事件が頻発する社会にしてしまったのは、そもそも根本たる政治のありように問題があったからに他なりません。加えて、政治不信と称して、これを放置し、選挙で投票にすら行かない国民自身にそのツケが回ってきているのが現在の姿なのです。
 小泉政権から安倍政権へと変わっても、主体性なき対米追随路線という基本スタンスに変化は見られず、むしろ改憲を前面に出した危険度の高い内閣へと変質してきました。"2007政治決戦"といわれる本年、私たちが誤った選択をすれば、国民生活は止めどない窮地へと追い込まれていくことになるでしょう。ホワイトカラー・エグゼンプションの導入など、昨今の労働関係法制の改悪の動きも、国会における法案審議となれば与党の数の論理に押し切られる危険をはらんでいることを念頭に置かなくてはなりません。
 したがって、政権交代へ向けた前哨戦として、4月の統一地方選挙と7月の参議院選挙をしっかりと闘い、勝利する体制を築いていく必要があります。労働組合として、政治ときちんと向き合っていくことの重要性を改めて本中央委員会の場で確認したいと考えます。

 最後になりますが、私たちを取り巻く困難な状況に対して、臆することなく、ひるむことなく、労働組合としての誇りを持って立ち向かっていきましょう。
 本中央委員会が意義あるものとなることを期待し、執行部を代表しての挨拶といたします。共にがんばりましょう。
 ありがとうございました。

以上


         

食の安全・安心を確保するための特別決議

 消費期限切れ原材料を使用した不二家の問題が1月10日に報道されて以降、食の安全・安心を脅かす事例が連日マスコミ等で報道されてきている。
 フード連合は、問題発覚後、ただちに産別としての基本的な見解を「談話」として内外に発信するとともに、当該不二家労組と連携しながら、事実関係の把握に努め、連合やフード連合の構成単組・地区協議会に対して経過や状況の説明等を行ってきた。
 私たちは、これまで食の安全・安心を確保することを産業政策の最重要課題として位置づけて、基本方針の策定や取り組みマニュアルの作成、「食の安全・安心強化月間」の設定と職場の点検活動等に取り組んできた。しかし今回、再びこうした問題が発生したことは、取り組みが職場に徹底されず、また、経営に対する労働組合のチェック機能が発揮できていなかったと言わざるを得ない。
 "風通し"の良い職場を作り、職場に問題があるときは、いつでも労働組合を通じて経営側に提起できるボトムアップ機能を発揮することが、労働組合の重要な役割である。私たちが、こうした取り組みを日常的に実践することが、自らの雇用や労働条件を守ることにもつながることを再認識する。
 私たちは、本「第5回中央委員会」の総意として、下記のとおり決議する。

  1. 不二家に対しては、今回明らかになった事実を踏まえ、経営の責任として再発防止策を早急に策定して実行に移し、"新生不二家"として再出発することを求める。
     また、不二家の経営再建計画等の策定に当たっては、不二家労組と十分協議を行うとともに、一義的な責任が経営側にあることを踏まえ、今回の問題を理由に、安易に働く者の雇用や労働条件に手をつけるべきではない。
     フード連合は構成単組および地区協議会と一体となって、不二家労組への支援・協力体制を構築する。
  2. 私たちは、今回の不二家の問題を自らの問題として受け止める。そして、二度とこうした問題が起きないよう、今春闘では、春闘要求の獲得と合わせて、食の安全・安心を確保する取り組みを最重要課題として位置づけて、全国の職場で組合員やパート社員等を巻き込んだ点検活動に取り組む。
  以上決議する。

    2007年1月29日

日本食品関連産業労働組合総連合会
第5回中央委員会